目次
■序文
9月初週の東京市場は静かな幕開けとなった。米国市場がレーバーデーで休場だった影響から手掛かり材料に乏しく、ドル円は146円後半から147円前半にかけて小動きを続けている。直近の米株市場では、NY株価指数がそろって下落し、投資家心理には調整ムードが広がった。特にハイテク株が売られたことでNASDAQが大幅に下落し、リスク資産への警戒感が増している。米10年債利回りは4.25％近辺で推移、ドルインデックスは97台後半で横ばい。米景気減速懸念と底堅さが交錯する中、本日の焦点は米ISM製造業景況指数に集まる。予想は49.0と依然50を下回るが、前回の48.0から改善が見込まれており、市場は「景気後退感が強まるか否か」に神経を尖らせている。
一方、日本株は反発で始まり、日経平均は42,271円まで戻している。日経先物も42,340円前後で底堅く、アジア株全般も小幅高で推移。月初フローと相まって、東京時間は表面的には落ち着きを見せている。しかし、欧州時間にはユーロ圏CPI速報値、NY時間にはISM製造業景況指数と重要イベントが控えており、現状の膠着感が一気に崩れる可能性は高い。市場は次の方向感を探りつつ、欧米時間の指標待ちの姿勢を強めている。
■テクニカル分析
直近1週間（8月26日〜9月2日朝方）のドル円は146.66円から148.18円のレンジで推移。8月末にかけて下値を試したが146円半ばで下げ止まり、直後に148円台まで反発するなど、上下に振れながらも方向感を欠いた展開となった。前々日の日足は陰線で下押しを示したが、前日は下値を切り上げる陽線で引けており、売り買いの圧力が拮抗していることがわかる。
最新の200EMAは以下の通り。
- 日足200EMA：147.87円
- 4時間足200EMA：147.29円
- 1時間足200EMA：147.33円
現在値147.30円は、まさに4時間足・1時間足のEMA200と同水準であり、日足EMA200をわずかに下回っている。すなわち「短期は均衡、大局は上昇基調維持」という局面にあるといえる。東京時間の値動きはこの均衡を大きく崩す材料に乏しいが、欧州以降は指標を契機に上抜けか下抜けかが決まる公算が大きい。
解説：
現状は境界線上の攻防であり、方向感が出るのは指標発表後となる可能性が高い。上方向は148.00円を突破できるかが焦点、下方向は146.50円割れが試されれば146円前半まで下落余地が広がる。本日は米ISMの結果次第で「上抜けて148円台」か「下落して146円台半ば割れ」かの分岐点を迎えると見てよい。
■主要経済指標と注目材料
- 10:30 豪・経常収支
- 未定 日銀・氷見野副総裁の発言（あいさつ・会見）
- 18:00 ユーロ圏CPI速報値（予想+2.0％／コア+2.2％）
- 22:45 米・製造業PMI改定値（予想53.3）
- 23:00 米・ISM製造業景況指数（予想49.0／前回48.0）
- 23:00 独・ナーゲル独連銀総裁の発言
外部要因としては、米株の高値警戒感、ドルインデックスの横ばい、米国債利回りの動向、新興国通貨不安などが挙げられる。本日の最大材料はやはり米ISM。結果が弱ければドル売り・円買いが加速し、逆に改善すればドル高が進行する。欧州CPIもユーロドルを通じてドル円に波及する可能性が高く、午後以降の相場はボラティリティ上昇が避けられない。
■時間帯別シナリオ
東京時間（6:00 – 15:00）
東京時間は147.30円前後での膠着が続いた。仲値にかけて輸入フローによるドル買いが観測されたものの、147.50円を明確に突破するほどの勢いはなく、結局はレンジ内での往来にとどまった。現値は1時間足・4時間足の200EMAとほぼ重なっており、方向感を欠いた動きが続く。下は146.90〜147.00円が厚いサポートとなる一方、上は147.50円が重石となり、東京時間だけでは突破力を欠く展開となろう。米国休場明けの海外勢の動きを見極めたい思惑も強く、東京時間は「嵐の前の静けさ」といえる。
欧州時間（15:00 – 21:00）
欧州時間の焦点は18:00発表のユーロ圏CPI速報値。予想は+2.0％、コア+2.2％と前月から横ばい。もしインフレ圧力が強まればユーロ買いが優勢となり、ドル売りを通じてドル円は下押しされ、146.80円方向への下落が現実味を帯びる。一方、予想を下回る結果ならユーロ売りが先行し、ドルが支えられて147.60円〜147.80円の上値を試す可能性がある。欧州株も米株の調整を引きずりつつも短期的な反発を模索しており、CPIの数字次第で市場心理は振れやすい。東京時間の膠着を破るのはこの時間帯となる見込みであり、ここで147円台を維持できるか否かが重要な分岐点となる。
NY時間（21:00 – 30:00）
NY時間の最大イベントは23:00の米ISM製造業景況指数。予想は49.0と依然50を割り込んでいるが、前回48.0からは改善が見込まれる。もし予想を上回り50を伺う結果となれば、米金利上昇とともにドル買いが優勢となり、ドル円は148.00円突破を試みるだろう。逆に49割れに留まれば米景気減速懸念が再燃し、株安と円買いが連鎖、下値は146.50円、場合によっては146.20円を試す展開が視野に入る。米国の休場明けフローも加わるため、NY時間は上下いずれにも振れ幅が拡大しやすく、23時以降のボラティリティは非常に高い。ISMの結果が本日の相場全体を決定づけることになる。
■本日の値動き予測レンジとまとめ
レンジ想定：146.50円～148.00円
- 現在値 09:27 147.30円
- 08:00 147.28円
- 12:00 147.10円
- 16:00 147.40円
- 20:00 147.20円
- 24:00 147.80円
- 30:00 146.70円
まとめ
まとめ
本日のドル円は、東京時間は膠着、欧州時間はCPIの結果次第で動意づき、NY時間のISMが最大の勝負所となる。147.00円を割り込めば下落シナリオが鮮明化し、逆に147.50円を突破すれば148円台への上昇が現実味を帯びる。200EMAが示す均衡点に位置するため、欧米時間の指標で一気に方向が定まる一日となろう。
■軍師たちの一言
各軍師の意見：
諸葛亮孔明
「大局を見よ。日足200EMAは147.87円、依然として上を指す。しかし現値147.30円は4時間・1時間の200EMAと重なり、均衡の狭間にある。汝、軽挙妄動するな。戻りは148円手前で叩き、下は146.50円を割り込むかを注視せよ。策は明快、ISMが弱ければ一気に円高へ傾く。天下の大勢は短期下降に傾きつつある。」
司馬懿仲達
「待てあわてるな、これは孔明の罠だ。確かに日足は上向きだが、ISMが強ければ一夜にして148円台突入もあり得る。147.00円を割ったとて即座に売り急ぐな。逃げ道を備え、上への急伸を許さぬ構えが肝要だ。市場は裏をかく。策は、上にも下にも備える両面待ちだ。」
龐統士元
「株価は軟調、米債金利は伸び悩み、ユーロ圏CPIも重石となる。外部環境は円高を後押ししておる。147.50円を背に売り、146.50円を狙う戦いは理に適う。休場明けの米市場は荒れる、下方向の衝撃に備えるべし。」
郭嘉奉孝
「勝機は待つにあり。EMA200を明確に超えぬ限り、売り一手に徹すべし。ISMが失望に終われば流れは一気に下へ傾く。焦って飛び乗るな、流れが決まるのはNY時間だ。その瞬間を狙え。」
辻政信（作戦の神様）
「フハハ！策など不要！147.30を背に即刻全力売りだ！割れれば146.50、さらに146.00まで一直線よ！欧州CPIもISMも言い訳にすぎぬ。動いた方へ賭けるより、今ここで仕掛けるこそ大勝の道だ！」
■総括（朝8:00時点）
- 想定レンジは146.50～148.00円。
- 東京時間は膠着、欧州時間はユーロ圏CPIで動意づく。
- NY時間のISM製造業景況指数が最大の決戦。
- EMA200は「日足上昇、短期均衡」の構図。
- 策は戻り売り優先、147.50円超えまでは下方向に備えるべき。
- 下抜ければ146.50円を試し、ISMが弱ければ146.00円台も視野。
■予測概要
- 9月2日 09:27時点価格：147.30円
- 方向性：下方向優勢（ただしISM次第で反発リスクあり）
- 下落方向へいく確率：65％
解説：
ドル円は現在、日足EMA200をやや下回り、4時間足・1時間足のEMA200と重なる均衡点にある。短期的には欧州CPIと米ISMを契機に、下方向へ崩れる可能性が高い。特にISMが弱ければ146.50円割れ、さらには146.00円台を試すシナリオが優勢だ。逆に予想を上回れば148円トライの上昇も残るため、シナリオは二分される。ただし全体の流れはやや円高寄りに傾きつつあり、慎重ながらも戻り売り戦略が現実的である。