目次
■序文
米国市場は昨夜、NYダウが +350.06ドル高の45,621.29 と堅調に引け、S&P500やナスダックも揃って上昇した。AI関連を中心に強気ムードが広がった一方で、米長期金利は 10年債利回り4.15% と小幅低下。株高と金利低下の組み合わせはドル売り要因であるが、為替市場ではリスク選好に伴う円売りが優勢となり、ドル円は148円台を維持している。日経平均も朝方から続伸し、寄り付きで 42,918円(前日比+338円) と堅調。米株高と円安の相乗効果により投資家心理は改善している。
本日の最大焦点は日本時間21時30分に発表される米国雇用統計である。市場予想は非農業部門雇用者数が +7.5万人、失業率は 4.3%、平均時給は前年比 +3.7% とされる。前回の結果をやや下回る見通しであり、弱めに出ればドル売りに直結する公算が大きい。反対に予想を上回る強い数字となれば、FRBの利下げ観測が後退し、ドル買いに振れやすい。すなわち、本日のドル円は「雇用統計一本勝負」と言って過言ではなく、発表前は膠着、発表直後に大きく値を飛ばす展開が濃厚だ。
外部要因としては、トランプ大統領が半導体に関税を課すとの報道が浮上し、市場には一時的な不安も広がったが、むしろ自動車関税引き下げの決定が株価を押し上げた。さらに、欧州では独・製造業受注や英・小売売上高の発表が控えており、ユーロ・ポンドの動向次第ではドル円のクロス経由で波及する可能性もある。
本日の値動きシナリオは以下の通りである。東京時間は148円台前半で膠着、欧州時間にかけて小幅な上下を経て、NY時間の雇用統計で本格的に方向が定まる。大局は上昇基調だが、統計が弱ければ147.50円割れまで急落するリスクを孕む。逆に強ければ149.30円突破、150円大台への挑戦も視野に入る。すなわち、本日は「雇用統計を待ち構え、発表後の方向に素直についていく」ことが勝利の鍵となる。
■テクニカル分析
まず、長期指標である200EMAの水準を確認する。日足の200EMAは 147.87円、4時間足では 147.47円、1時間足でも 147.86円 と揃っており、現在の実勢値 148.18円(9/5 10:08) はいずれも上回っている。三位一致の形で上昇トレンドが維持されており、大局は「ロング専念」と判断できる。
直近1週間の値動きを見ると、安値は 146.65円、高値は 149.12円。値幅はおよそ2.5円であり、方向性としては安値を切り上げながら高値を試す上昇基調にある。特に9/2以降は148円台での滞留が目立ち、押し目買いの需要が強いことを示している。
前々日(9/3)のローソク足は高値148.56円・安値147.16円の中陰線で終値は 148.07円。前日(9/4)は高値148.77円・安値147.78円と下値を固めつつ反発し、終値は 148.47円 の陽線で引けた。本日(9/5)は寄り付き148.47円から始まり、序盤に148.51円をつけた後はやや押し戻され148.16円近辺で推移している。
この流れを踏まえると、本日の日足は「陽線」で引ける可能性が高い。押し目を147.80円前後に見込み、上方向では149.00円を再び試す展開が本命。ターゲットレンジとしては 147.80 – 149.30円 を想定し、値動き幅はおよそ1.5円程度と読む。
解説:
EMA200が三位一致で上抜けしている現状は、短期の調整が入っても上昇圧力が勝る地合いを示す。過去7営業日のクローズも8/28の146.91円からじり高が続き、9/4の148.47円まで堅調に切り上げた。米国雇用統計を控え市場は神経質ながらも、株高・金利安の組み合わせがドル円の下支えとなっており、147円台後半が下値支持帯として意識される。したがって、本日の戦術は「147.80円での押し目買い、149.30円突破で150円を試す展開」に備えるのが得策である。
■主要経済指標と注目材料
・08:00 米シカゴ連銀総裁グールズビー発言(金融政策への示唆注目)
・14:00 日本 景気先行CI指数速報値(予想105.8)
・15:00 英国 小売売上高(前月比+0.2%予想)
・18:00 ユーロ圏 第2四半期GDP確報値(前期比+0.1%予想)
・21:30 カナダ 雇用統計(失業率7.0%予想)
・21:30 米国 雇用統計(NFP+7.5万人、失業率4.3%、平均時給+3.7%)
・23:00 カナダ Ivey PMI
今日の最大イベントは21:30の米雇用統計であり、それまでは市場が手控えムードに包まれる可能性が高い。結果次第でドル円は1円以上の急変動が想定され、事前ポジションは慎重に、発表直後の方向感を捉えて順張りで臨むのが賢明である。
■時間帯別シナリオ
東京時間(6:00 – 15:00)
本日の東京時間は148円台前半での静かな展開が続いた。米国雇用統計を控え、市場参加者の多くが様子見姿勢を強めており、商いは薄く、値幅も限定的であった。実際に朝方の高値は148.51円、安値は148.12円にとどまり、30銭ほどのレンジでの膠着にすぎない。背景には米株高を好感した円売り圧力があり、加えて日経平均が42,900円台に乗せて堅調に推移したことがリスク選好の後押しとなった。ただしドル円そのものは、米金利の低下(10年債利回り4.15%)が重しとなり、一方向に傾くほどの力は働かなかった。東京時間は概ね148.20円を中心としたレンジ取引が支配的となり、欧州勢の参入待ちという位置づけである。
欧州時間(15:00 – 21:00)
欧州時間の前半には英国の小売売上高、ドイツの製造業受注、ユーロ圏GDP確報値といった指標が相次いで発表される。予想はいずれも小幅な改善にとどまるため、ユーロやポンドが大きく買われる展開は考えにくい。むしろ「米雇用統計を控えて動きにくい」という意識がドル円にも波及し、148円ちょうどから148.50円のレンジに収まる可能性が高い。ただし、欧州勢はしばしばポジション調整を仕掛けるため、指標結果が弱ければ一時的にドル売り・円買いに振れ、147.80円を試す場面も想定される。一方、強い結果が出れば149円をうかがう上昇もあり得る。総じて欧州時間は「雇用統計前の布石」となり、値幅は広がりやすいが方向感は定まりにくい。
NY時間(21:00 – 30:00)
米国雇用統計発表の21:30が最大の決戦の時刻である。市場予想はNFP+7.5万人と控えめであり、これを下回れば景気減速懸念が強まり、FRBの利下げ観測が加速してドル売りに直結する。想定される下押しの目安はまず 147.50円、さらに割り込めば 147.00円。逆に予想を大きく上回る雇用増加が確認されれば、利下げ後ずれ観測からドル買いが優勢となり、まず 149.30円 を突破、節目の 150円 を狙う上昇も視野に入る。平均時給が予想比で強ければインフレ警戒が再燃し、ドル買いの勢いはさらに強まる。
発表直後は1円以上の乱高下が避けられないため、戦術としては「発表後の初動を見極め、方向に素直についていく」ことが肝要だ。NY時間はまさに勝負の舞台であり、事前にポジションを積み上げることは危険。短期順張りで波に乗るか、あるいは指標後の二次波動を狙うのが最善策となる。
■本日の値動き予測レンジとまとめ
レンジ想定:147.80円 – 149.30円
現在値 148.18円(10:08時点)
08:00 148.20円
12:00 148.25円
16:00 148.10円
20:00 148.40円
24:00 149.00円
30:00 148.70円
まとめ
本日のドル円は東京時間で膠着、欧州時間はレンジ拡大、そしてNY時間の雇用統計で本格的に方向が決するシナリオである。大局は200EMA三位一致の上昇で「ロング専念」だが、雇用統計が弱ければ急落のリスクも高い。従って、統計発表前は軽ポジションまたは静観、発表後の流れに乗ることが勝利の鍵となる。
■軍師たちの一言
諸葛亮孔明:
三位一致のEMA200が明確に上を指しておる。大局は依然として上昇基調、ゆえに汝は押し目を買うべし。147.80円こそ要害、ここを背にすれば勝算は高い。149.30円を突破すれば150円大台の門が開かれるであろう。焦って仕掛けるな、統計前は兵を温存し、決戦の太鼓が鳴る21時30分にこそ勝負を挑むべきである。
司馬懿仲達:
待て、あわてるな。これは孔明の罠だ。確かに大局は上昇だが、米雇用統計が弱ければ市場は一転し、147.50円を割り込む恐れがある。上値追いに盲信するは危険、必ず逃げ道を備えよ。強い数字なら149円台半ば、弱ければ146円台へ急転直下。勝負は統計に委ねられていることを忘れるな。
龐統士元:
株高と円売りが支えているが、その足元には脆さも潜む。米国債利回りが低下し、景気減速の影が忍び寄る中で雇用統計が失望なら円高が一気に進むであろう。とはいえEMA200を割らぬ限り、大局は上昇のまま。したがって策は“押し目買い”一本、ただし統計直前に余計な仕掛けは厳禁だ。
郭嘉奉孝:
市場は決戦の時を待っている。EMA200が上を向く限り、売りの仕掛けは愚策。だが油断はならぬ、雇用統計が地雷となり流れを変えることもある。ゆえに統計後の初動を見極め、その方向に乗ることが唯一の勝ち筋だ。焦らず、しかし決断は鋭くあれ。
辻政信(作戦の神様):
フハハ!難しい策など要らぬ。147.80円を割れぬ限り買い叩け!だがもし雇用統計で下抜けたなら、一転して全力で売り浴びせるのだ。割れれば146円台半ばまで一直線よ!勝負は一撃必殺、細かい策など無用。豪胆こそが戦場を制す!
■総括(朝8:00時点)
想定レンジは 147.80 – 149.30円。東京時間は膠着、欧州時間はレンジ拡大、NY時間の雇用統計で本格的に決戦を迎える。EMA200は三位一致で上昇を指しており、大局は「ロング専念」。策は「147.80円を押し目に買い、149.30円突破なら150円を狙う」。ただし統計が弱ければ147円割れまで急落の恐れもあるため、雇用統計直前は兵を温存するのが鉄則。
■予測概要
10時08分時点 148.18円
上方向に進む確率 65%
解説:
株高とリスク選好が円売りを支えており、EMA200三位一致が強い上昇シグナルを示している。ただし米金利の低下がドルの頭を抑えており、雇用統計が弱ければ一転してドル売りに傾きやすい。ゆえに戦術は「押し目買い主体、統計後の方向に順張り」。本日の勝敗は21時30分の一瞬に決まる。